5.盲従教授――毛沢東を「大指導者」と崇拝


鉄パイプふりかざし襲う

 「連合赤軍」を名のる毛沢東盲従の暴力集団を支持、育成し、激励、扇動してきたものは、中国の大国主義的干渉者だけではありません。日本の国内で、みずから毛沢東思想に盲従した徒党、個人が、職場、居住、あるいは学園で青少年を破滅の道にかりたててきました。

 たとえば「連合赤軍」の榛名アジトで "総括 "という名のリンチで虐殺されたかれらの一味の一人、加藤能敬(二二)が在籍していた東京・町田の和光大学。ここには毛沢東盲従集団に加わって共産党攻撃に血道をあげてきた宮川寅雄(芸術学科長)を中心とする盲従教授の一団がいます。

 宮川寅雄は、毛沢東を「大指導者」とあがめ、数え切れないほどの死傷者をだした「文化大革命」を「世界史を新しくひらいた」ものと賛美してきました。それだけでなく、かれは、「日中文化交流協会常任理事」の肩書きで「反米帝・日ソ修正主義とのたたかいの先頭に立っている」とトロツキストや盲従暴力分子をもちあげ、けしかけてきたのです。こうしたたぐいの言辞は公然と発表されたものだけでも、少ない数ではありません。かれが日常若い学生たちに何を吹きこんできたか、見当がつこうというものです。

 二月九日のこと、この宮川らに育成された「新中国研究会」「日中正統」などの盲従学生と「ブンド」などのトロツキストの "連合軍 "約三十人が鉄パイプをふりかざして同大学生活協同組合を襲撃。理事選挙の投票箱や会計報告を奪いさり、理事のTさんの顔面を鉄パイプでなぐりつけ負傷させました。自分たちの思いのままにならぬ総代会の成功を妨害するためになぐりこんだのです。

廷々八時間のリンチ加える

 これまでもこうした暴力事件はいちいち数えきれないほど。ここでも早稲田大学、法政大学などと同様に、暴力集団に反対する自治会活動家の約十人の学生が一年半にわたって登校できないでいます。

 かれらが暴力支配をむきだしにしたのは、一九六九年の高校移転問題をめぐって、学校と自治会が妥結したとりきめの粉砕をさけんでパリケード封鎖したころからですが、このとき学内には "紅衛兵運動 "さながらの「自治会粉砕」などと大書された「大字報」(壁新聞)がベタベタはり出されました。

 このなかで自治会執行委員の森居利昭君(当時二十歳)にたいする集団リンチ事件が発生しました。

 同年三月三日、毛沢東盲従の暴力集団数人が生協にいた森居君をバリケードのなかにつれこみ延延八時問のリンチを加え、ひん死の重傷を負わせたのです。

 森居君は当時をふりかえりながら「全身を鉄パイプでなぐり、シャツー枚にして、背と腹に氷を入れ、扇風機を吹きつけた。ぬれたタオルを顔におしつけられ、数回失神した。ボリュームを最大にした拡声機を耳につけられ、コマクを破られた。なかには『性的不能者にしろ』と叫んだやつもいた……」と怒りにふるえて語っています。

 事件を知った森居君の母、愛子さんが大学に問いあわせると、バリケード内にはいれるただ一人の教授宮川が「心配ない、眠っている」と返事してきました。母親の直感で、気絶していると思った愛子さんが「警察をよぶ」と抗議すると、再度宮川がバリケードの中にはいった直後、森居君は外にほうりだされたのです。愛子さんは「もしあれが "妙義山 "だったら運絡もつかず、あの子は殺されていたでしょう……」と語っていました。

バリケードにはいれる教授

 「バリケード内にはいれるただ一人の教授」というのも偶然ではありません。同大三年生のS君は「あの当時、暴力集団が封鎖していた研究室三階、とくに宮川の部屋などには、静岡大、大阪市大などの暴力学生約百人が寝起きし、教授では宮川だけが中にはいれた」といっています。またそのバリケードには「殺された加藤能敬もはいっていた」という同級生の証言もあります。かれはその直後に姿をくらましたが、何度か学内に現われ「京浜安保共闘」の集会を開いたこともあるといいます。

 事件後森居君は、犯人の安斎慎治(反党盲従分子安斎庫治のむすこで宮川が保証人)ら五人を告訴しました。公判がはじまると、宮川は暴力集団とともに傍聴、被告らを激励。犯人らが保釈のさいは、合計百万円近い保釈金を出したといわれます。また昨年二月の第十二回公判には宮川自身が証人に立ち、暴力集団が「学問的、社会的に問題提起したことに敬意を表する。大学に疑問をもつりっぱな学生である」とのべています。

 こうした盲従教授は宮川らだけではありません。関西大、同志社大など学園の暴力支配がつづいている関西一円を歩きまわり、「全共闘の諸君は日本における文化革命の端緒をきりひらいた」と扇動してきた京大の井上清や花園大の小野信爾、さらには羽仁五郎ら一部文化人もその同類として、つよくその責任を追及しなければなりません。


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