9.日中脱走派――文章まで北京の口うつし


世間に通用しない "無関係 "

 「中京安保共闘」――「連合赤軍」を名乗る一味の中で、加藤倫教とその十六歳の弟、山本順一(死亡)・保子夫婦、小嶋和子(死亡)、寺林真喜江らが以前属していた毛沢東盲従集団の一派です。「京浜安保共闘」の指導でつくられた組織ですが、この「中京安保共闘」メンバーは、そのまま「日中友好協会(正統)」をせん称する愛知県組織の会員でもありました。この毛沢東盲従グループの理不尽な攻撃をはねのけ、真の日中友好運動の旗を守りつづける日中友好協会愛知県本部の大橋満男事務局長はいいます。「新聞に加藤や山本が『正統』派の会員であったことをあばかれ、あわてた『正統本部』では、しきりと "無関係だ "といいわけしていますが、ふざけた話です。愛知県の『正統』・グループは社会党の毛沢東盲従分子黒田寿男(代議士)一派の影響下にあるわけですが、集会やデモのとき、『正統派』の旗のもとで赤ヘルメット姿の『中京安保共闘』メンバーが、反帝学評(トロツキスト)や毛沢東思想共闘戦線(大塚有章系)といっしょになってあばれまわっていたことはよく知られていること。会員としてさんざん使っておきながら、自分たちに累がおよびそうになると "なんの関係もない "では、世間には通用しません」

共産党攻撃が目的の組織

 「日中友好協会(正統)」とは、中国で紅衛兵運動が荒れた一九六六年、中国の干渉グループに指導され、文化大革命の礼賛や毛沢東の絶対化、日本共産党にたいする攻撃・転覆などを目的としてつくられた盲従組織。日中友好協会から脱走した福田、西沢、大塚、安斎各派の反党盲従分子と、社会党幹部の黒田寿男、岡田春夫、穂積七郎(いずれも当時代議士)らが寄り合い、社会党のバック・アップを得ています。

 一時期、友好貿易の利益配分争いやら主導権争いやらがこうじて宮崎・三好派(福田系)、黒田派、西沢派……などに四分五裂しましたが、昨年秋、中国の干渉者グループのテコ入れで "大連合 "しました。会長は黒田寿男、理事長は宮崎世民。現在、社会党、総評、社青同などがつくっている「日中国交回復国民会議」の有力な構成団体でもあります。

 日中友好運動を "毛沢東盲従運動 "にすりかえ、日本共産党をアメリカ帝国主義、ソ連共産党、自民党政府とならべて「四つの敵」の一つに数えるこの団体は、さながら "連合盲従集団 "です。かれらがいうことは、ことばづかいから文章まで人民日報や北京放送の口うつしです。「革命暴カはよいことだ」「情勢はすぱらしい」と、トロツキストの妄動をケシかけ、 "共闘 "してきた "実績 "では人後におちません。

 そのおもなものをひろっただけでも――。

 日中友好協会本部襲撃事件(一九六七年)――紅衛兵の本場での "武闘 "を直輸入して「正統」本部会員、在日華僑学生、トロッキストML集団が東京・文京区善隣学生会館内にある日中友好協会本部を同年二月いらい百五十回にわたって襲撃。竹ヤリ、鉄パイプ、先のとがった鉄ヤスリなどの凶器を振りまわし、ひとかかえもあるコンクリート破片を投げつけるなどして協会勤務員など二百八十人に重軽傷を負わせました。

 「連合赤軍」メンバーの山本順一は、この襲撃の先頭にたった一人。

 民主勢力のきびしい追及、糾弾をうけて当時四分五裂し、気息えんえんとしていたトロツキストは、この事件以後急に息を吹き返すことになりました。

 羽田暴力事件(一九六七年)――十月八日、佐藤首相の「南ベトナム訪問実力阻止」を呼号、トロツキスト各派と共同行動し、「日中脱走派」の会員六百人が参加。暴力事件のなかで死亡した山崎博昭をたたえ、その「追悼中央葬」なるものまでトロツキスト各派と共催。

 東大事件(一九六九年)――一月十五日、工学部列品館にたてこもったML集団に加わり、「脱走派」の有カメンバー永田礼司、藤井広朋らが相次いで逮捕されました。永田は神奈川県「脱走派」本部事務局長の経歴をもち、ML集団を背後からあやつっていた黒幕の一人。その私宅の家宅捜索ではダイナマイトや手製ボール爆弾、劇薬など危険物とともに、大量の麻薬やインドネシア紙幣、ゲリラ戦術教典が発見され、疑惑をよびました。

 札幌爆弾事件(一九七一年)――10・21の夜、北大正門前で爆弾を投げつけて逮捕された高校生らの供述から、爆弾の製造は同市南九西六の日中友好「脱走派」本部札幌地区本部の一室に、塩素酸ソーダ、硫黄などの薬品と、ポスターカラーのあきビンを持ち寄っておこなわれていたことが発覚しました。

暴力集団に "救援資金 "も

 見のがすことのできないことは、こうした妄動が特定個人の偶発的な発作ではないことです。それは「脱走派」本部ぐるみのものでした。東大事件直後に開かれたかれらの全国理事会(六九年二月二日)では、会長の黒田寿男が「東大闘争で学生諸君は "造反有理 "(むほんには道理がある)のスローガンを大きくかかげている。学生運動のなかに毛沢東思想が浸透しつつある」と、「安田講堂攻防戦」を絶賛。「愛国正義のたたかい」とおだてあげて、暴力集団への "救援資金 "パイプ組織として「日中救援センター」の設置まできめました。

 ところがこの "連合盲従集団 "、なにを血迷ったのか、正真正銘自分たちの "申し子 "である「連合赤軍」一味が、毛沢東思想を "発展 "させた銃撃・リンチ虐殺事件をひきおこすと、機関紙「日本と中国」紙上で、「日本のトロツキズム(「連合赤軍」)宮本集団(日本共産党)が生みだした鬼ッ子」(三月六日付)などと、右翼謀略団体「勝共連合」と同様のデマ宣伝をはじめました。だがこれは少々早まりすぎたようです。親の心子知らずか、子の心親知らずか、海の向こうのご本家で周恩来は「日本の新左翼(毛盲従、トロツキスト暴力集団のこと)は立派である」とのべたのです。毛沢東盲従の「脱走派」の面々、どうつじつまを合わせるつもりか、見ものでしょう。


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