11.さようなら ラサよ


 一九七五年九月九日、チベット人民は自治区成立十周年の祝日を熱狂的に祝った。

 祝日の前日、華国鋒同志を団長とする中央代表団がラサに到着、毛主席と党中央、国務院を代表して、チベット各民族人民と幹部、チベットに駐屯している人民解放軍の指揮員と戦闘員、全国各地からきている工作員に、あいさつと祝賀の意をあらわした。

 その日、ラサ市のいたるところに赤旗がひるがえり、喜びの雰囲気の中にドラや太鼓がひびきわたった。祝日の晴れ着を着た各民族人民五万人は、人民体育場に集まって盛大な祝賀大会をひらいた。

 華国鋒同志と、中国共産党チベット自治区委員会書記、自治区革命委員会副主任、人民解放軍チベット軍区第二政治委員のティェンバオ同志が演説した。かれらは、チベット自治区成立以来のこの十年間に、毛主席をはじめとする党中央の英明な指導と、毛主席のプロレタリア革命路線の導きのもとでおさめた社会主義革命と社会主義建設の偉大な勝利をふりかえり、暗黒で残酷な旧チベットが、いまや生気はつらつとじた社会主義の新チベットに変わったことを祝った。そして、勝利の旗のもとに前進し、階級闘争をカナメとして、繁栄する社会主義の新チベットを建設し、全国の各民族人民とともに、今世紀内に中国を社会主義の近代的強国にきずきあげるために奮闘しようと、チベットの各民族人民に呼びかけた。

 大会の終了後、盛大な祝賀パレードがおこなわれた。パレードの先頭は、百人あまりの各民族衣裳を着た労働者、農民、兵士の青年男女である。かれらは赤旗を高くかかげ、美しい花束を手に、毛主席の肖像をとりかこみながらすすむ。そのあとに果てしなくつづく労働者、農民、牧畜民のパレードは、思い思いにかざりたてた花車、図表、模型などで、チベットの各分野がおさめたこの十年の成果を示している。舞台芸術関係者は、楽しそうに民族舞踏をおどりながら行進した。

 このめでたい目を祝って、ラサの各民族人民は園遊会を催した。わたしたちも美しい人民公園に出かけてみた。かつてダライの夏の離宮(ロブリンカ)だったここは、今日では勤労人民の楽しい憩いの場所となっている。そこには赤旗が林立し、いろとりどりの花が咲きそろい、歌とおどりのるつぼと化していた。人びとは勝利を、毛主席を、共産党をうたい、いっそうすばらしくなるにちがいない未来をうたっていた。

 数日後、チベット訪問を終えだわたしたちは、深い感動を胸にラサ飛行場に向かった。高々とそぴえたつポタラ宮がだんだん遠くに消えてゆくと、今回の訪問中に会ったたくさんのチベット族や漢族の人びとの顔が目の前に浮かぴこかれらの情熱的な力強いことばが耳にひびいてくるのだった。わたしたちは心の中で、別れのことぱを叫んでいた。さようなら、ラサよ。さようなら、同志のみなさんよ。わたしたちは必ずまた会えるだろう。そのとき、あなた方がきっと新しい成果をおさめていることを信じている、と。


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