1.2 無償の労役

 領主の所有地のいたるところに、農奴の血と汗がしみこんでおり、刈り取られた穀物のひと粒ひと粒に、農奴の苦しみがこめられている。年若い母親が、監督のムチに追われて耙(原始的な砕土用農具)をひっぱっている。泣きつかれて声もでない生まれてまもない子供は、畑のかたわらで野獣とカラスにおびやかされている……。逃げ出そうとした1人の農奴は、足かせをつけられて、労働を強制されている。これがはたして人の世なのだろうか。





畑のかたわらに放りだされた赤ん坊は、
腹をすかせて泣きさけぶ。
泣きつづけるわが子に乳をあたえることもできない女農奴は、
胸がはりさける思いで「耙」をひっぱる。


ムチを片手に、にらみをきかす
凶悪な面構えの監督。
領主のため、むりやりに働かされる農奴。



もくじ 第1部:1.1 1.2 1.3 1.4 第2部:2.1 2.2 2.33部:3.1 3.2 第4部:4.1

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