1.悲惨な人間の生き地獄――封建領主の荘園

 封建農奴制度のもとでは、たくさんの農奴が、農奴主階級に骨の髄まで搾取され、抑圧されていた。かれらは無償で労役にこきつかわれ、農奴主の思いのままに売買され、抵当にされ、交換され、牛馬にも劣る生活をしいられて、先祖代々死線上であえいでいた。

1.1 労役の苦しみ

 雪が視界をさえぎり、寒風が骨を刺す。山は高く、道はつるつるに凍っている。「ウーラー労役」にかりだされた農奴たちは、領主を背負い、ハダカ麦の大袋や酥油(牛、羊の乳をにつめた食用油)の包みを背負って、でこぼこの険しい山路を1歩1歩あるいてゆく。





「人を背負う労役」にかりだされた農奴は、にえたぎる憎しみを胸に、
けわしい山道をのぼりつづける。
腰が折れるほど重いハダカ麦の袋をかつぎ、
飢えと疲れでよろめく若い女農奴。


ずっしりと重い食糧の袋をかつぎながら、老婆
自身の食べ物はない。腹がすき、のどがかわけば、
冷たい雪水をすくってのどをうるおし、
ただ苦しみの涙を腹にのみこむ。
過酷な労役にたえられず、老人が血を吐いてたおれる。かたわらですすり泣く孫娘。
それを見て、ようしゃなくムチを振う残忍な労役監督。
「やめろ!」かんにん袋の緒をきらした壮年の農奴がそのムチをさえぎる。


怒りにもえる壮年の農奴。
倒れた老人を助け起こす女農奴。



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