2.2 人を食い物にする神権

 うす暗い経堂。袈裟をかけた鬼どもが、寺院の修復を名目に、子供を箱詰めにして、土台の一角に生き埋めにしようとしている。泣き声を聞きつけた母親が、あたふたと駆けつける。年老いた大工、労役にかりだされた農奴たちも、寺院めざしておしかける。




陰険な「生き仏」(ここでは上層のラマ僧を指す)が経文をとなえ、
鉄棒を持つ残忍なラマ僧は農奴の反抗を鎮圧しようとかまえている。
野獣にひとしいこれらのラマ僧は、子供を生き埋めにして、
封建農奴制度の残虐な支配を維持しようとするのだ。
気のせく母親は、年老いた大工に助けられ、
寺院にむかって突進する。


子供を箱の中に押しこめようとする残忍な人殺し。
「子供を返せ! 子供を返せ!」ふるえる両手をさしのべ、
悲憤の思いをこめて叫ぶ母親。


はげしい怒りにもえる若い女農奴。
やせこけた手をのばして叫ぶ老婆。
「子供を! 子供を助けてくれ!」


寺院の修復にかりだされた農奴たちは、重い木材をかつぎ、
1歩1歩足をふみしめながら山の小道をのぼる。
かれらは、怒りの目で人食い鬼どもをにらみつけ、
その恨みを心に深くきざみつける。
この人食い鬼の巣くつ――寺院をうちこわそうと、
棒をとってたちあがる貧しい青年牧畜民。



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