ソ連政府の中国全留学生追放に関する中国外交部覚書

(1969年10月22日)


 ソ連高等教育・中等専門教育省の一九六六年十月七日付通達によると、ソ連政府は一方的に中国の在ソ全留学生の休学を決定し、かれらにたいして本年十月中にソ連を退去するよう命令した。これは、ソ連政府が横暴にも中ソ文化協力協定をふみにじり、中ソ両国の関係をいちだんと悪化させた重大な事件である。

 この事件は、ソ連政府が計画的にひきおこしたものである。一九六六年九月二十日、中華人民共和国高等教育部は中国駐在ソ連大使館につぎのように通知した。中国の大学・専門学校では、いまプロレタリア文化大革命がおこなわれており、すべての大学・専門学校は授業を停止している。そのためすべての外国の在中国留学生は一年間休学させ、明年夏と本年末に卒業する留学生は繰りあげて卒業させてもよいこととする、ソ連の在中国留学生はもともと本年末に卒業の予定であり、基本課目はすでに修了したのであるから、繰り上げて卒業させてもよいわけである、卒業の日どりについては、ソ連側と原則的な協議をおこなったのち、学校が留学生の学習進度にもとづき、ソ連学生と具体的に協議する、というのがそれである。これについて、中国側がたびたび督促したにもかかわらず、ソ連側は終始回答をおこなわず、しかも自分の方からソ連の在中国留学生を引き揚げさせたのである。ソ連政府は、ソ連の学生が引き揚げたその翌日、こともあろうに、中国政府が一方的にソ連の留学生の休学を決定したと中傷し、いわゆる対等の原則を口実として、突然、中国の全留学生に期限内にソ連を退去するよう命令する決定を公布した。

 ソ連当局の口実は、全然成り立たないものてある。全世界の人びとが知っているように、中国ではいま文化大革命がおこなわれており、一年間の休学は、たんにソ連の在中国留学生を対象とするだけでなく、すべての外国の在中国留学生を対象としたものである。ところが、ソ連には、すべての在ソ外国留学生を一年間休学させるといった事情がないにもかかわらず、一方的に中国の在ソ留学生を休学させるのは、明らかに中国の留学生だけを対象とした差別行為である。

 ソ連指導部は、ずっとまえから、中ソ両国の留学生交換の関係を破壊しようとたくらんてきた。なが年らい、ソ連側は、中国が留学生を派遣することに、いろいろな難くせをつけ、極力中国の在ソ留学生を滅らそうとしてきた。また、中国の在ソ留学生の学習にさまざまな困難をもたらし、一方的にかれらの専攻科目を変更し、かれらが資料を閲読したり実習したりすることに制限をくわえ、口実を設けてかれらを中国に追いかえし、ひいてはかれらにたいして謀略活動さえおこなってきた。そしていま、ついに中国の全留学生を追放したのである。きみたちは、是非を転倒させており、留学生交換関係破壊の責任をわれわれにおしつけようとしているが、それはむだ骨折りというものである。

 ここで指摘しておかなければならないのは、ソ連政府が今回中国の留学生を追放するのは、孤立した事件ではないということである。しばらくまえから、ソ連指導部は世界的規模の新たな反中国キャンペーンを念入りにたくらんできた。ソ連の新聞・雑誌は、つぎつぎと、おびただしい反中国の資料をかかげ、中国人民、中国共産党、中国人民の偉大な指導者毛主席に悪らつな中傷と攻撃をおこない、中国プロレタリア文化大革命にデマと中傷のかぎりをつくしてきた。それと同時に、ソ連政府は一連の措置をとり、中ソ両国の関係を悪化させてきた。これらすべては、きみたちのさかんに唱えている反帝「共同行動」がまったく人だましのつくり話であり、アメリカ帝国主義と「共同行動」をとって中国に反対することこそ真の正体であることを、あらためて暴露している。

 覚書は最後に、ソ連側の卑劣な中国活動と両国関係を悪化させる行為にたいして、われわれはもっとも強硬な抗議を提出し、中国の在ソ留学生を十月二十七日にモスクワから帰国させることを決定したとのべている。


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