1969年6月11日付中華人民共和国外交部覚書

(1969年6月17日「北京週報」)


 中華人民共和国外交部は六月十一日駐中国ソ連大使館に覚書をおくりソ連政府がソ連軍に指図して六月十日中国新彊維吾爾自治区裕民県巴爾魯克山西部地区に侵入させ、計画的に新たな流血事件をひきおこしたことに強硬な抗議を提出した。覚書の全文はつぎのとおり。

ソ連駐中国大使館

 六月十日夜九時三十分、ソ連軍数十名が中国新彊維吾爾自治区裕民県巴爾魯克山両部地区に侵入し、折から同地で放牧中の中国牧畜民三名に狂気じみた挑発をおこない、中国牧畜民一名を拉致していった。同日夜九時四十分、中国国境守備要員が交渉に出向いたが、ソ連軍は理不尽な態度をとり、あろうことか最初に発砲し、その場で中国の女子牧畜民一名をうち殺した。わが国境守備要員はこれ以上耐えしのぶことのできない状況のもとで、やむなく自衛の反撃をおこなった。これはソ連政府が一手にひきおこした新たな流血事件である。その後、ソ連軍はまたもや大量の戦車、装甲車をくり出して、中国領内に侵入し、より大きな武力衝突をひきおこそうとしており、事態はいまなお発展中である。

 中国攻府は、ソ連政府がソ連軍に指図して中国領上を侵犯させ、計画的に流血事件をひきおこしたことに強硬な抗議を提出し、ソ連政府に、中国領土への侵犯をただちに停止し、武力挑発をただちに停止し、拉致していった中国の牧畜民をただちに送還することを要求する。中国政府は、損害の賠償を請求する権利を留保する。

 中国政府は、ふたたびソ連政府にきびしく警告する。中国にたいして領上拡張、武力挑発をおしすすめる政策を改めなければならない。さもなければ、かならず中国人民のきびしい懲罰をうけるであろうし、これによってもたらされるすべての重大な結果はソ連政府がその全責任を負わなければならない。

中華人民共和国外交部

1969年6月11日 北京にて


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