中国最初の原爆実験に成功

中華人民共和国声明(1964/10/16)


 一九六四年十月十六日十五時、中国は一個の原子爆弾を爆発させ、成功裏に第一回核実験をおこなった。これは、中国人民が、国防力を強化し、ア メリカ帝 国主義の核恐かつ、核威かく政策に反対する闘争のなかでかちとった大きな成果である。

 自国の防衛は、いかなる主権国家にとっても剥奪することのできない権利である。世界平和の擁護は、平和を愛するすべての国家の共同の責任である。 日ましに増大するアメリカの核威かくに直面して、中国は、じっと手をこまねいていることはできない。中国が核実験を行い、核兵器を開発するのは、せまられ て、よぎなくするものである。

 中国政府は一貫して核兵器の全面禁止、完全廃棄を主張してきた。もし、この主張が実現されていたなら、中国はもともと核兵器を開発する必要がな い。しかし、われわれのこの主張は、アメリカ帝国主義のがん固な抵抗をうけた。中国政府は、早くから次のように指摘してきた。一九六三年七月、米、英、ソ 三国がモスクワで調印した部分的核実験停止条約は、世界人民を愚ろうする大ペテンである。この条約は、三大核保有国の核独占の地位をかため、平和を愛する すべての国家の手足をしばろうとするものである。この条約は、中国人民、全世界人民に対するアメリカ帝国主義の核威かくを弱めないばかりか、返ってこれを 強める、と。当時、アメリカ政府は、なんらかかくすことなく、この条約に調印 することは、アメリカが地下核実験をせず、核兵器を使用、製造、貯蔵、輸出、拡散しないことを意味するものではけっしてないと声明した。ここ一年あまりの 事実も、このことを十分に証明している。

 この一年あまり、アメリカはすでにおこなってきた核兵器の基礎のうえにたつ各種核兵器の製造を止めたことはなかった。アメリカはさらに完ぺきにし ようとして、 ここ一 年あまりの間に何十回にもわたって地下核実験をおこない、その生産する核兵器をいっそう完全なものにしてきている。アメリカ原子力潜水艦の日本「寄航」 は、日本人民、中国人民、アジア各国人民に直接の脅威をあたえている。アメリカはいわゆる多角核戦力を通じて、核兵器を西ドイツの報復主義者たちの手にま で、拡 散し、ドイツ民主共和国と、東ヨーロッパの社会主義諸国の安全を脅かしている。アメリカの潜水艦は核弾頭をつけたポラリスミサイルをのせて、台湾海峡、 バックボ湾、地中海、太平洋、インド洋、大西洋に出没し、いたるところで平和愛好国、すべての帝国主義、新旧植民地主義とたたかう国ぐにの人民の脅かして いる。こ のような状況のもとで、アメリカが一時的に大気圏内核実験をおこなわないという見せかけの現象があるからといって、世界人民に対するアメリカの核恐かつ と核威かくが、すでに存在しなくなったと考えることは、どうしてできるだろうか。

 周知の通り、毛沢東同志には、原子爆弾ははりこの虎である、という名言がある。これまでもわれわれはそう考えて来たし、今でもやはりわれわれはそ う考えている。中国が核兵器を開発するのは、核兵器の万能を信じて、核兵器を使用しようとしているからではない。まったく、その反対に、中国が核兵器を開 発しているのは、ほかでもなく、核大国の核独占を打ち破り、核兵器を消滅するためである。

 中国政府はマルクス・レーニン主義に忠実であり、プロレタリア国際主義に忠実である。われわれは人民を信じている。戦争の勝敗を決定するものは人 間であって、いか なる兵器でもない。中国の運命は、中国人民によって決定され、世界の運命は、世界各国人民によって決定されるのであって、核兵器によって決定されるのでは ない。中国が核兵器を開発しているのは防御のためであり、アメリカのひきおこす核戦争の脅威から中国人民をまもるためである。

 中国政府はおごそかに宣言する。中国はいかなる時、いかなる状況のもとでも、決して最初に核兵器を使用することはないであろう、と。

 中国人民は全世界のすべての被抑圧民族、被抑圧人民の解放闘争を断固として支持する。各国人民は、自分の闘争にたより、相互に支援し合うことで、 かならず勝利 をかちとることができる、とわれわれは確信する。中国が核兵器をその手に握ったことは、現在闘争をおこなっている各国の革命的人民に対する大きな激励であ り、世界 平和を守る事業に対する巨大な貢献である。核兵器の問題について、中国は冒険主義のあやまりを犯すこともなければ、また降伏主義のあやまりを犯すこともな いであろ う。中国人民は信頼できる人民である。

 平和を愛好する国家と人民のすべての核兵器の停止を求める善意の願望を、中国政府はよく理解している。しかしますます多くの国々がアメリカ帝国主 義とその一味の核兵器独占が強まれば強まるほど、核戦争の危険が増大することを理解してきている。彼らがもち、あなたが持っていなければ、かれらはますま すいばりちらす。かれらに反対する人々も、またもつようになってしまえば、かれらはそんなにいばりちらすことはなくなり、格恐かつ、核威かくの政策もそれ ほどきき目がなくなり、核兵器 の全面禁止、完全廃棄の可能性が増大するであろう。われわれは、核戦争は永久に発生することのないよう心から希望する。平和を愛好する全世界のすべての国 家と人民が共に努力 し、闘争を堅持しさえすれば、核戦争は防止することができる、とわれわれは確信する。

 中国政府は世界各国政府に対して丁重に次のように提案する。世界各国首脳会議を開いて、核兵器の全面禁止、完全廃棄の問題を討議する。各国首脳会 議はその第 一歩として、核兵器の保有国ときわめて近い将来核兵器を保有する可能性のある国家が、核兵器を使用しないこと、つまり、核兵器を持たない国に対して核兵器 を使用しないこと、非核武装地帯に対して核兵器を使用しないこと、そして相互の間でも核兵器を使用しないことを保証する義務を負う、そのような調停に達す るべきであ る。

 もしすでに大量の核兵器を保有している国家が核兵器を使用しないというこの点すら保証できないとしたら、核兵器をまだ保有していない国家にかれら の平和 への誠意を信じて、可能なそして必要な防衛措置をとらないようどうして期待することができるだろうか。

 中国政府はこれまでと変わることなく、国際的な話し合いを通じて、核兵器を全面的に禁止し、完全に廃棄する崇高な目標の実現を促すためあらゆる努 力をはらうものである。その日が来るまでは、中国政府と中国人民は国防を強化し、祖国を防衛し、世界平和を擁護するため確固として変わることなく自分の道 をあゆむもので ある。

 われわれは確信する。核兵器が人間が作ったものであり、人間は、かならず核兵器を消滅することができる、と。


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