革命の烈火をさらに激しく燃やそう! ――新劇<野火>を見て

農民 張桂福


 私は胸をおどらせながら、日本の劇団<はぐるま座>が上映した五幕ものの新劇<野火>を見ました。

 これは日本の農民蜂起を主題とした歴史劇でした。日本の革命的文芸戦士たちは、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想を運用して、一八八四年に日本の秩父の山でおこった農民の武装蜂起の英雄的な事績をりっぱにえがいていました。

 深い政治的内容をもち、高い芸術的水準に達しているこの劇は日本の現代の革命的芸術のなかに、美しく咲き誇った鮮やかな花です。私たち中国の農民は<野火>の上演が成功したことをこころからよろこんでいます。

 この劇で、私たちは日本の明治維新後、地主階級やブルジョア階級を代表する天皇制政府ができて、大地主、大資本家であり県会議員である黒田正吉が、天皇制政府の専制機構の庇護をうけて、かいこを飼っている農民にたいして野蛮きわまる略奪と搾取をおこない、多くの農民は重いかせやくさりのもとに日増しに貧困と破産に追いこまれたことを知りました。

 抑圧のあるところには反抗があり、抑圧がひどいほど、反抗の烈火は、ますます激しく燃え上がるものです。秩父の山の養蚕農民は、不合理な社会制度を変えるには、自分たちが団結して造反(反逆)する以外にないということを、みずからの体験を通して理解しました。そこで、彼らは困民党の指導者――茂助の指導のもとにむしろ旗を立てて高利貸をうち倒す闘争から、天皇制政府に反抗する天地をくつがえすような武装蜂起にまで闘争を発展させました。

 <野火>は農民の武装蜂起の烈火の場面で、茂助をはじめとする困民党の英雄の姿をみごとに浮きぼりにし、顛倒されていた歴史を本来の姿に再顛倒しています。敢然と造反し、敢然とたたかうのが、茂助の性格の核心をなしています。かれは、舞台に登場するやいなや、この強烈な造反精神を示します。かりゅうどの服を着て猟銃をにぎった茂助は、黒田正吉の糸繰り場の窓辺に姿をあらわして資本家の手先や警官と顔を合わすなりかれらをあざけり、短いやりとりで相手をきめつけ、狼狽させてしまいます。この場面で茂助をかりゅうどとして登場させたことには深い意味がこめられていると思います。それは日本人民が、将来かならずこのかりゅうどのように猟銃を手に持って、人を食うすべての野獣をうち倒してしまうであろうことを象徴しているかのようでした。日本の幾千万、幾百万の貧しい人民と同じように、茂助は階級的な深い憎しみと憤りをこめて、「阿呆みたいに口をあけて天皇が憲法とか議会をさずけてくれるのを待っておられるか。われわれは古い社会をうち砕き、貧しい農民のために政治をやる政府を作らにゃあならんわい」と叫びます。武装警官に包囲され逮捕されても、彼は顔色ひとつ変えないで胸をはって敵をふる上がらせるような豪快な笑い声を立て、
「秩父の困民党は、天皇だろうが県の旦那どもだろうが、おそれるものじゃない!」
「やつらをうち倒し、天地をくつがえすのだ!」
 と、天皇制政府に向かって挑戦します。これは日本の農民の英雄的な気概を十分にあらわしています。

 たたかいのなかで、茂助たちは組織をつくり、武装闘争を進めることの意義をさらに深く認識しました。そこで、かれらは蜂起の旗をかかげ、幾千幾万という貧しい農民を組織して、猟銃をもって、天皇制専制政府を倒すためにたたかいました。革命の野火は燃えあがりました。怒りに燃えた一本一本のたいまつが秩父の山並みを照し、力強いほら貝の音は天地をゆさぶりました。革命闘争はあらしのように発展し、かれらは頭上にのしかかってきた地主、資本家を倒し、天皇制政府の反動的支配を揺さぶりました。このことは、「小さな火花も広野を焼きつくす」という偉大な真理を十分に物語っています。

 わたしたち中国の農民は毛主席の指導を受けながら、長期にわたる革命闘争のなかで、徹底的に解放をかちとるにはかならず武装闘争の道を歩まなければならない、ということを深く理解しました。

 <野火>は造反有理(反逆には道理がある)いうことと、武装して権力を奪い取るという偉大な思想を表現しているだけでなく、議会主義者である清次の裏切り行為をようしゃなく暴露することによって、現代修正主義を力強くうちのめしています。

 現代修正主義者は劇中の清次とまったく同じように、暴力革命を死ぬほど恐れ、深く恨んでおり、必死でそれに反対しています。

 宮本たちがそうするのは、勤労人民を思想的に武装解除させ、永遠に牛馬として働かせようとするからで、かれらは徹頭徹尾の米日反動派の共犯者です。かれらの命はもういくばくもありません。

 いま、革命の烈火が日本に燃えさかっています。秩父農民蜂起の革命的造反の伝統は、日本の広はんな革命的左派の中にいっそう輝かしい光をはなっています。かれらはマルクス・レーニン主義、毛沢東思想の赤旗を高くかかげ、「造反有理」の大きな旗を高くかかげて、つぎつぎに立ちあがって左派の組織ををつくり、アメリカ帝国主義、ソ連現代修正主義、日共修正主義集団、日本反動派に大いに造反しています。闘争の波は潮のように盛り上がっています。

 <野火>にはどの幕にも、その幕にぴったりした毛主席の語録がはじめに朗読され、革命的な歴史劇を当面の現実の闘争と結びつけています。特に終幕の<偉大な毛沢東思想の勝利万歳>は、忘れることのできない深い印象を人びとに与えます。

 <インターナショナル>と<東方紅>の音楽のなかで四方に金色の光を放つ毛主席の肖像が背景に大きくうつし出されます。力強い足取りの革命の大軍が赤旗を高くかかげて、ホコ、刀、猟銃をしっかりと握りしめ、真っ赤な『毛主席語録』をもって、世界人民の偉大な指導者毛主席のさししめす方向に向かって勇ましく前進します。かつての農民運動とこんにちの反帝・反修闘争がしっかりと結びつけられます。このことは、毛沢東思想にたよってこそ、すべての妖怪変化にうち勝ち、全世界の革命の勝利をかちとることができるということをあらわしています。

 革命的造反精神に富んだ日本の革命的文芸戦士たちの上演を見て、わたしは、自分たちの過去の歴史を思い出しました。日本の今の現実を見て、わたしたちは決して過去の苦しみを忘れることはできません。世界ではまだ三分の二の人民が解放をかちとっていません。わたしたちは、「すでに革命の勝利をかちとった人民は、いま解放をめざしている人民の闘争を援助すべきであり、これはわれわれの国際主義的義務である」という毛主席の教えをしっかりと胸に刻んでおかなければなりません。わたしたち中国の農民はアメリカ帝国主義と修正主義に反対している日本人民の正義の闘争をあくまで支持し、日本人民の強固な後だてになることを誓います。革命の烈火をさらに激しく燃やそう! 日本人民はかならず勝利する! 帝国主義、修正主義、各国反動派はかならず滅びる!

 『人民中国』(1968/01)


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