烈士の血潮の跡を踏みしめて前進せよ

1960・6・17人民日報社説


 岸信介一味が引き起こした「六・一五」の大虐殺は、全日本人民の悲憤をよび起こした。いく百千万の人びとは、日本の独立と自由のために犠牲となった烈士を深い悲しみをこめて悼み、岸信介一味の戦慄すべき血なまぐさい犯罪行為に対し憤りを燃やしつつ抗議している。悲しみを力にかえて、日本人民はすでにいっそう強大な抗議デモ運動を展開している。日本の国会、岸信介の官邸および警視庁の周辺ではいまや、殺人の下手人を懲罰せよ、岸政府は退陣せよ、国会を解散せよ、アイゼンハワーの訪日反対、日米軍事同盟条約の批准反対という、天をも揺るがす群衆の雄叫びがとどろきわたっている!全国各地の人びとは、奮起してこれにこたえ、ぞくぞくデモの隊列に加わっている。日本人民の反米・反岸闘争の炎は、烈士の鮮血をあびてさらにはげしく燃えさかっている。とどまることを知らぬ人民の抗議の怒涛を前にして、岸政府はアイゼンハワー訪日計画の無期限延期を公表せざるをえなくなった。これは売国的岸政府に反対し、日米軍事同盟条約に反対し、アイゼンハワーの訪日に反対する日本人民の闘争の勝利の第一歩である!中国人民は、日本人民の勝利に心からお祝いを申しあげる!闘争の最前線にたつ日本の学生と闘争を堅持する勇敢な日本人民に、崇高な敬意を表する!負傷した学生と各界の人びとに心からの慰問を申しあげる!

 岸政府がアイゼンハワーの訪日計画の無期延期を公表したことは、日本人民がうまずたゆまず闘争を堅持した結果である。この一年有余にわたって、日本人民は、米日反動派が日米軍事同盟条約をつうじて新戦争を画策するその陰謀を粉砕するために、ねばり強いたたかいをつづけ、このたたかいは一波また一波と高まってきた。岸信介一味が衆議院で日米軍事同盟条約を強行「採決」したのち、この条約に反対する日本人民のたたかいはいっそう高まった。岸政府と日米軍事同盟条約はいずれも大波にもまれる木の葉さながらの状態にある。そこで、米日反動派はアイゼンハワーの訪日というこの手によって、日本人民をおどしあげようとたくらんだが、こと志とちがって、アイゼンハワーがあくまで訪日を実行するというこの事が、日本人民をいっそう憤激させた。日本人民はアイゼンハワーの訪日に反対する闘争を断固として操りひろげ、しかもそのたたかいを日米軍事固盟条約に反対するたたかいと結びつけた。アイゼンハワーのための露払いとして、岸信介一味は「六・一五」の大残虐事件を引き起こしたが、結果はアイゼンハワーの訪日に反対する日本人民の闘争を弾圧し去ることができなかったどころか、逆に、米国の宣伝機関のいうごとく「火に油をそそぐ」結果となった。こうした情勢のもとで、岸信介一味はついに、日米軍事同盟条約と岸信介一味までが人民の散しい憤怒の炎にたちまち焼きつくされるのを避けるため、アイゼンハワーに訪日計画を延期し、しばらくの間、日本人民の闘争のほとぼりのさめるのを待つよう要請することを公表せざるをえなくなったのである。アイゼンハワーの訪日計画が変更を余儀なくされたことは、米日反動派にとっていえば、一大失敗というほかはない。このことによって、すでに旅の途上にあるアイゼンハワーは、今さらなんと弁解しようとも、かれとかれの代表する米帝国主義がいかに孤立した立場におかれているかをおおいかくすすべとてまったくなくなった。

 米日反動派が甘んじて日米軍事同盟条約を放棄することは絶対にありえないこと、かならずやひきつづきあらゆる悪らつ、横暴な手段にうったえて、日米軍事同盟条約を日本人民の頭上に押しつけようとするであろうことは、きわめて明らかである。また、この目的をはたすために、凶悪きわまりない米帝国主義と岸信介一味も人民に対する血なまぐさい弾圧をけっしてやめないであろう。現にアイゼンハワーに訪日を延期するよう要請した岸政府の声明は、日米軍事同盟条約が自然成立するかまたは「批准」の手続がおわるかするまでは、総辞職もしないし、国会も解散しないこと、日本人民の愛国正義の闘争に対して「断固打撃を加え」、日本人民と「あらゆる面でたたかう」つもりでいることを、はっきりと表明している。AP通信もまた、公然と岸政府に、勇敢にたたかう日本人民に対して「さらに強い措置をとる」よう指図している。また「ニューヨーク・タイムズ」紙にいたっては、公然と日本人民を「ゴロツキ」呼ばわりし、「日本政府は責任もって」日本人民の闘争を「制止すべきである」と命じさえしている。「ニューヨーク・タイムズ」紙はさらに、米軍は日本の反動当局が日本人民の愛国闘争を弾圧するのを援助することができるという日米「安保条約」の条項をことさら引用して、「米国の寛大さを軟弱さととりちがえるな」と恥知らずにも日本人民におどし文句をならべている。こうした殺気にみちた暴言は、「六・一五」の流血の惨事が、いつでも再演される可能性のあることを示している。長い間鍛錬をへた日本人民は、岸信介のこの血なまぐさい弾圧の陰謀に対して、高度の警戒心をよび起こすにちがいない。

 それはともかくとして、岸政府がアイゼンハワーの訪問延期を発表せざるをえなかったというこの事は、帝国主義や反動派がいかに頑固で、狂気じみていようとも、人民が団結して断固たるたたかいを進めさえすれば、かれらのあらゆる陰謀計画を打ちやぶりうることを反駁の余地のないまでにはっきりと示している。周知のとおり、暴虐な帝国主義といっさいの反動派は、死の直前にあっても、けっしてみずから進んで武器を投げ出しはしないのであって、かれらは身に寸鉄もおびない人民に対して時をえらばず虐殺を行ない、血なまぐさい弾圧によって人民を屈服させようと妄想するであろう。かれらは、強大な人民の闘争に直面してはじめて、やむなく引き下がるのである。南朝鮮人民の闘争とその勝利はこの真理を証明しており、日本人民の闘争とその勝利も同様にこの真理を証明している。したがって、日本人民がおさめたこの勝利の第一歩は、当然のことながら、その反米・反岸闘争の闘志をさらにふるいたたせ、かれらがさらに奪起して烈士の血潮の跡を踏みしめてさらに前進をつづけ、日米軍事同盟条約を徹底的に粉砕し、米国の手先岸信介一味の反動支配をくつがえすようかれらを励まさずにはおかないであろう。

 日本人民の血はけっしてむだに流されたのではない。米帝国主義とその手先に反対する日本人民の一つ一つのたたかいはすべて、米帝国主義の侵略政策と戦争放策に反対し、アジアと世界の平和を守るアジア諸国人民の共同のたたかいの一部分であり、日本人民のおさめている一つ一つの勝利は、これまた、アジア諸国人民の勝利であり、アジア人民の平和を守る事業に大さく寄与するとともに、今日米帝国主義の侵略に反対してたたかうその他のアジア諸国人民を大きく鼓舞激励している。アジア諸国人民は、日本人民が完全にその目標を達成する日まで、かならずや日本人民の反米・反岸、独立、民主、自由をめざすたたかいを断固支持しつづけるであろう。最後の勝利はかならずや百折不撓の、あくまでたたかいぬく英雄的な日本人民のものとなるであろうことをわれわれは固く信ずるものである!


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